熊本県では、友引でも葬儀は行われます。
午前中に火葬にし、午後から齋場などで葬儀が行なわれるケースが多いです。
中国の六曜にある「友引」の日にはお葬式を出さないというのが、全国では一般的ですが、熊本県では「友引」でもお葬式を出します。
これは、浄土真宗が7割を超えているからだといいます。浄土真宗では友引のお葬式を気にしません。
先人たちにより命を受け継いだのですから、その法儀もしっかり受け継ぎたいという思いがあるのでしょう。
また、葬儀に先だって火葬を行う地域も多く、この地域では、火葬場は無休で友引の日も休みになりません。
納骨堂を1村落単位の組で所有する地域もあります。
火葬をすませてから葬儀をする例が多いです。地域住民の結びつきが強い農村部や地方都市など全国各地、多くの地域でお葬式の際に近隣組織が喪家を助けるというならわしがあります。
そして、葬儀の際、祭壇の前に「料理膳」を添える風習があります。これは「葬式組」と呼ばれる近隣組織がお葬式を手伝います。
村落などでは、納骨堂を1村落単位の組で所有し、組の人は同じ納骨堂に納骨されることが多いようです。
通夜にあたる「夜伽見舞い」に持ち寄る菓子。
熊本県では、通夜を「夜伽」と呼び、この際に持ち寄る菓子などを「夜伽見舞い」といいます。
夜伽見舞いには、菓子や酒の他、現金を出すこともあり、熨斗や封筒には「御目覚」や「目覚」と書かれます。
また、通夜の後で行われる「通夜振舞い」の食事には、おにぎりを出すことが多いそうです。
葬儀は「葬式組」の人たちが用意し、通夜には近親者が酒や菓子を「夜伽見舞」として持参し、弔問客には握り飯などが振る舞われます。
三度回しは現世での罪をなくすための修行!?
出棺の際に故人の愛用していた茶碗を割るしきたりが全国でありますが、熊本にも広く見られます。
これは、故人の愛用品を壊すことで、「もう帰ってくる場所はありませんよ」と教え、現世への未練を断つという意味があると言われています。
また、一部地域には、出棺の際に近親者で棺を持ち、3度ぐるぐると回すというしきたりが見られます。
これは、「三度回し」「棺回し」などと呼ばれ、棺を回すことで故人の方向感覚を無くし、家に戻ってこられないようにするためで、
迷いなくあの世へ旅立っていってほしいという願いがこめられているのではないでしょうか。
他にも「回る」という行為が、仏教の修行にも多く見られたり、お遍路さんが聖なる場所を回ったりすることから、
「回る」という儀式を行うことで現世での罪をなくすための修行を行っているとする「減罪信仰」からとも言われています。
お目覚め代と呼ばれる香典と同じ扱いのもの
熊本の一部の地域では、お目覚め代と言って親族が夜通し線香(ろうそく)の火をともす為寝ずの番をする為のお酒やおつまみ代的な物を持っていく習慣があるようです。
それこそ御供えの変わりかと思います。