火葬は葬儀の前にやる所と後にやる所とあります。
埼玉県では、葬儀・告別式のあとに出棺・火葬をする地域と、通夜の翌朝、葬儀・告別式の前の葬儀当日の朝に出棺・火葬をして、葬儀・告別式を行う地域があります。
基本的には葬儀の後に火葬というのが多いです。秩父地方では、火葬をすませてから葬儀を行っています。
葬儀・告別式の前に火葬をする地域の場合、参列者が最後に故人に会いたいと思っていても、葬儀・告別式への参列ではすでにお骨となっています。
通夜でお見舞いを渡す地域があります。
秩父などの地域では、通夜の香典袋のほかに、「お見舞い」と表書きし紅白の水引をかけた袋を用意することがあります。
これは、遅ればせながらお見舞金を、通夜の席でお渡しするというもので、遺族への気遣いが込められています。決しておめでたい意味があるものではありません。
三途の川を渡るまでは参列者が同じ格好をして見送ります。
秩父の葬儀では、参列された方が着席すると、全員に "金剛杖" を、男性には "かんむり"を、女性の方には "いろ" と "とも白髪" が配られ、
それぞれを身に着けて巡礼のような格好で葬儀に立ち会い、導師(お坊さん)の「引導」が終わるまで身につけ、その後回収します。
引導とは三途の川を渡ることを意味していて、『三途の川を渡る〈前〉まではみんなで同じ格好で見送るが、
引導が終わり、三途の川を渡った先からは一人で行ってくださいね』という意味があるのです。
香典返しを辞退すしますという意味の「新生活」と書いた香典袋があります。
一般的な相場とされている香典の額よりも少なめに入れて、香典返しを辞退するという意思表示をすることがあります。
これを「新生活」といいます。埼玉県では、葬儀の際にその場で香典返しが行われるのがほとんどですので、通常の香典を持参した人とは別に列を作って渡します。
亡くなった人の家族に配慮した香典の風習です。
友引でも葬儀はやります。
一般的に友引に葬儀を行うことは縁起が悪いと避けられていますが、秩父などの地域では、友引の葬儀を避けるという習慣はありません。
秩父の斎場は友引でも開いています。もちろん火葬場も営業しています。
秩父地方の納棺の時に行うことが二つあります。
納棺をするときに立ち会った方々に、縄が配られます。参列した方々は皆さん腰に巻き立結びに結びます。女性の方はたすき掛けにする地域もあります。
親しい方々が酒を口に含み、故人に吹きかけます。昔は殺菌・消臭のために行っていたことが今に残っているしきたりです。
秩父地方の葬儀で「ともに立つ方」とは?
秩父の葬儀に参列される方々は、大きく2つのパターンに分かれます。着席し、葬儀に立ち会う方と、お焼香だけしてすぐに帰られる方です。
最初の葬儀に立ち会う方を「ともに立つ方」と呼び、精進落としまで同席されるとみなされます。
受付のときに「ともに立ちますか?」と聞かれますので、「ともに立ちます」「いえ、お焼香だけで失礼します」などと答えます。
親族以外でも親しい方はともに立つことが一般的ですので「お友達はともに立つ」となります。